スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

宮沢賢治

          
    

宮沢賢治の文章は、昔からなじみ深いです。

今年の冬のように、厳しい自然環境では、先人の土地への想いを

新たにする時かも知れません。

     

。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・

「やまなし」

 『十二月』

 蟹の子供らはもうよほど大きくなり、底の景色も夏から秋の間にすっかり変りました。
 白い柔やわらかな円石がころがって来、小さなきりの形の水晶の粒や、
 金雲母のかけらもながれて来とまりました。
 そのつめたい水の底まで、ラムネの瓶の月光がいっぱいに透きとおり
 天井では波が青じろい火を、燃したり消したりしているよう、
 あたりはしんとして、ただいかにも遠くからというように、その波の音がひびいて
 来るだけです。
 蟹の子供らは、あんまり月が明るく水がきれいなのでねむらないで外に出て、
 しばらくだまって泡をはいて天上の方を見ていました。

『やっぱり僕の泡は大きいね。』
『兄さん、わざと大きく吐いてるんだい。僕だってわざとならもっと大きく吐けるよ。』
『吐いてごらん。おや、たったそれきりだろう。いいかい、兄さんが吐くから
 見ておいで。そら、ね、大きいだろう。』
『大きかないや、おんなじだい。』
『近くだから自分のが大きく見えるんだよ。そんなら一緒に吐いてみよう。
 いいかい、そら。』
『やっぱり僕の方大きいよ。』
『本当かい。じゃ、も一つはくよ。』
『だめだい、そんなにのびあがっては。』
 またお父さんの蟹が出て来ました。
『もうねろねろ。遅いぞ、あしたイサドへ連れて行かんぞ。』
『お父さん、僕たちの泡どっち大きいの』
『それは兄さんの方だろう』
『そうじゃないよ、僕の方大きいんだよ』弟の蟹は泣きそうになりました。
 
 そのとき、トブン。
 黒い円い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで
 又上へのぼって行きました。キラキラッと黄金のぶちがひかりました。
『かわせみだ』子供らの蟹は頸をすくめて云いました。
 お父さんの蟹は、遠めがねのような両方の眼をあらん限り延ばして、よくよく見て
 から云いました。
『そうじゃない、あれはやまなしだ、流れて行くぞ、ついて行って見よう、
 ああいい匂いだな』
 
 なるほど、そこらの月あかりの水の中は、やまなしのいい匂いでいっぱいでした。
 三びきはぼかぼか流れて行くやまなしのあとを追いました。
 その横あるきと、底の黒い三つの影法師が、合せて六つ踊るようにして、
 やまなしの円い影を追いました。
 間もなく水はサラサラ鳴り、天井の波はいよいよ青い焔をあげ、やまなしは横に
 なって木の枝にひっかかってとまり、その上には月光の虹がもかもか集まりました。

『どうだ、やっぱりやまなしだよ、よく熟している、いい匂いだろう。』
『おいしそうだね、お父さん』
『待て待て、もう二日ばかり待つとね、こいつは下へ沈んで来る、
 それからひとりでにおいしいお酒ができるから、さあ、もう帰って寝よう、おいで』
 
 親子の蟹は三びき自分等の穴に帰って行きます。
 波はいよいよ青白い焔をゆらゆらとあげました、それは又金剛石
 の粉をはいているようでした。

        *

 私の幻燈はこれでおしまいであります。


。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・

これは、ワタシの小学校時代の国語のテキストにありました。

挿絵は藤城清治さんではないかと思われます。(例の影絵調デザインの。)

≪宮澤賢治≫
明治29年岩手県生まれ。詩人・童話作家。盛岡高等農林卒。
花巻で農業指導者として活躍のかたわら創作。
自然と農民生活で育まれた独特の宇宙的感覚や宗教的心情にみちた詩と童話を残した。
生涯、法華経を敬信。童話「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」、詩集「春と修羅」など。
生前に出版されたのは童話集「注文の多い料理店」と詩集「春と修羅」だけ。
昭和8年花巻で結核のため死去。享年37歳。  (参考文献より)

≪宮沢賢治と心象スケッチ≫
彼の物語では、人と動物や植物、風や雲や光、星や太陽といった森羅万象が
語りあったり、交感しあったりする。このような森羅万象の関わりあいの自在さに、
彼の物語の大きな特色がある。これらがデタラメなこととしてではなく、
生き生きとしたリアリティをもって語られる。
 地質学者としての訓練を受けた賢治はフィールドワークの人であり、彼のファンタジーの出発点も、野外を歩き回っている時に実際におきた心の中の出来事におかれている。そのために、リアリティをおびた生き生きとした語り方が可能だったのだろう。野外を散策しながら、鉱物や植物について細かく観察し、気象の変化を敏感に感じとるだけでなく、それらに促されて自分の心の中から湧いてくるさまざまな感情や想念とその交錯を観察し、記録するという方法をつくりだしていった。そうした方法を彼は心象スケッチと
呼んだ。 

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/46606_30108.html 
                   ・・・「気のいい活火山」

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1927_17906.html    
                   ・・・「注文の多い料理店」

。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・

「注文の多い料理店/序」

わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、きれいにすきとほつた風をたべ、
桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
 またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かはつてゐるのをたびたび見ました。
 わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。
 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
虹や月あかりからもらつてきたのです。
 ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことをわたくしはそのとほり書いたまでです。
 ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、ただそれつきりのところもあるでせうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところはわたくしにもまたわけがわからないのです。
 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。

  大正十二年十二月二十日
        宮沢賢治

。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・

他にも、「永訣の朝」、などしんしんと寒い冬に心にじ~んとしみる

ものがあります。ワタシは明るい「やまなし」のクラムボンが、

気にいってます。はじまりの「五月」冒頭の、

“二ひきの蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンは跳ねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』”

というのが子供らしいリズム感が楽しくて良いです。

今度はどの作品を読もうかな、期待しています。



■ポチッと押してね。
人気ブログランキング  へ 

いつもありがとう、ポチっとして「投票」を押してね。
スポンサーサイト

星SF「災難」

「災難」




ワタシはエッセイやSF小説が好きですが、

13歳のとき学級文庫にあった「星新一」の文庫本のセカイに

吸い込まれるように取り付かれた記憶があります。

「ようこそ地球さん」「おみそれ社会」「ごたごた気流」

など夢のように短編小説の世界が繰り広げられるので

TVも映画も未発達だった時代に楽しめるひとときでした。


 。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°


ところで、以前NHKTVで「星新一ショートショート」

という10分くらいの短編集番組があって、

実写やアニメなど、おもしろいもの、悲しいもの、サスペンス

タッチなもの・・・様々な力作が登場しましたのでここでは

「災難」という作品をUPしました。

他に番組の中で個人的には「ボッコちゃん」が気に入っています。

ストーリーは、近未来を舞台に、バーで働く女性型アンドロイド

“ボッコちゃん”に対する男性客の絶望的な恋を描いた内容です。

2008年(平成20年)に放送された番組でCGアニメ化されました。

時代に疲れ、退廃したバーのお店で今夜もお勤めしなければならない

彼女はいろいろお店にやってくるお客すべてに切れかかった記憶力で

聞かれたままの言葉しか返せないというあらすじでした。たとえば・・・


  1)男性客「きれいな服だね。」
         ボッコちゃん「きれいな服でしょ。」

 2)男性客「なにが好きなんだい?」
      ボッコちゃん「なにが好きかしら。」

・・・なんてカンジで場末のモンローさんみたいにカウンター

のお客たちに洋酒を振舞っています。

大人になった今でも、このフシギなお店のママさんの態度は

自分たち世代に今でもピッタリ共通するようで(もうパロディーかな。)

なんだか、ほっこり温かいけどボケちゃった彼女が哀愁漂う、

おもしろ悲しい作品でした。

参考:(星新一 『ボッコちゃん』 新潮社〈新潮文庫 ほ-4-1)
    1971年5月27日刊。 ISBN 978-4- 10-109801-2。)


  。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°


他にもおすすめなのが(学生さんにも読めるし大人にもぜひ。)

「ショートショートの広場」(講談社文庫)です。

巻頭の「目次」には40数名ほどの星さんをめざす作者さんが

名前を連ねてリレー式に単行本に参加しています。

そして本の最後にその一人一人に星さんから「選評」が寄せられて

います。

ちなみにワタシは9巻めをもっています。このあと選者を替えて

作品集は続いているそうです。

このシリーズは・・・

昭和53年(1978年)に募集を開始し、継続している講談社の
ショートショート・コンテスト(コンクール)入選作をまとめた、
講談社から刊行されている同題の単行本、及び、入選作家による
ショートショート競作集です。

また雑誌掲載のみで単行本に収められなかった入選作、及び、「小説現代」、
「奇想天外」誌(休刊)、「ショートショートランド」誌(休刊)、
「IN★POCKET」誌、「メフィスト」誌にて行われている、入選作家による
ショートショート競作・・・などとなっています。


。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°


星さんは元々は「星製薬」のお坊ちゃんだったそうですが、

文章は遥かに完璧なSFプロ作家で、(当然ですみません。)

誰が読んでもおもしろい、ヒトや環境に優しいこんな偉大な作家さんに、

これからもまた出会いたいものです。



いつもありがとう、ポチっとして「投票」を押してね。

エッセイ「かつおぶしの時代なのだ」

 

ワタシの高校時代、なんとなくつまらない毎日

に飽きだしていた頃の話です。ワタシに行き着けの書店で偶然出合ったのが

椎名誠さんのエッセイ「さらば国分寺書店のオババ」でした。

なんてユニークなネーミングなのだろう、ととにかく読んでみたら

何とやっぱりオモシロイ。ユニークで楽天的なおじさんの登場に

当時はかなり驚きました。脱サラで作家になってもこんなに

楽しい人生で許されるし、ライフスタイルが新鮮でした。

時代は'80年代始めの「お笑いブーム」でしたし、西武王国も健在でしたし、

ビールブームの始まり辺りでもありました。コピーライターがもてはやされ、

若者のファッション雑誌等も夢のように飛ぶほど売れる時代でした。

non-no、an-an、can-cam,JJ・・・。

こんな贅沢が当たり前だったなんて!(その頃は何の責任もなくて

よかった・・・。)

・・・ところでその後もこの椎名誠さんはこのように活躍なさいました。

★ 1980.8 「気分はだぼだぼソース」 情報センター出版局エッセイ集。
     情報センタ-出版局からの「スーパーエッセイ」第二弾。

★ 1981.4 「かつをぶしの時代なのだ」 情報センター出版局エッセイ集。
      情報センタ-出版局からの「スーパーエッセイ」第三弾。

現在これらは文庫版でも購入できます。この方は・・・


◇◆椎名誠氏=作家、映画監督、「本の雑誌」編集長など。◇◆

1944年東京で生まれ、少年時代を千葉で過ごし、青年時代にイラストレーター
・沢野ひとし氏、弁護士・木村晋介氏らと東京の某アパートで共同生活を送った。
流通業界専門誌「ストアーズレポート」の編集長をつとめるかたわら、
仲間らと共に「本の雑誌」を創刊。「さらば国分寺書店のオババ」が
出版されるや大ヒットし、「昭和軽薄体」、「スーパーエッセイ」という
言葉を生む。


また、その他にもTVの紀行ドキュメンタリーやCMの出演多数。
文芸作品では小説に進出、私小説、SF小説、超常小説を多数発表。
文筆活動以外には、辺境の地への冒険をライフワークとし、
ドキュメンタリー番組によく出演するほか、旅先での写真を多数発表。
また本好きの習性として、旅先にも大量の本を持参して読了している。
自称“活字中毒”。


・・・なのでした。ワタシが本に出合ってから20年以上の

歳月が流れています。その間、就職など進路、引越し、結婚、

出産、育児、再就職などいろいろな局面や岐路におかれたとき

フシギと思い出すことがあります。

この方は外国人にも人気のあった方なので徳のある方だと思います。

どうすれば、外人さんにも日本のよいところを理解してもらえる

のでしょうね?

ところで、最近は冒険家やグルメやお酒に詳しい人も

ブログで拝見できますので、たくさんの椎名さん時代の

「お弟子さん世代」の方に容易に出合えるようになりました。

いつもありがとう、ポチっとして「投票」を押してね。

















最新トラックバック

sidetitleプロフィールsidetitle

Kaorin♪

Author:Kaorin♪
「FC2ブログ」
はじめまして。

sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleやすらぎの名言sidetitle
sidetitle窓辺に花sidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleアクセスランキングsidetitle
[ジャンルランキング]
音楽
4286位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
415位
アクセスランキングを見る>>
sidetitleTwittersidetitle
sidetitleメールフォームsidetitle

名前:
メール:
件名:
本文:

sidetitleようこそ!sidetitle
sidetitle誕生日性格占いsidetitle





sidetitleぴあ映画生活sidetitle
sidetitle世界のお守りsidetitle
お守り
世界のお守りブログパーツ
sidetitlechibitsidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。